PROJECT STORY 02 楽しみながら努力を続ければ、未来はどのようにでも切り拓いていくことができる IGSC(いすゞグローバルサービスコーポレーション) 片山 淳

いすゞ自動車は2015年、IGSC(いすゞグローバルサービスコーポレーション)という名のアフターセールス支援会社を設立。現地の新人整備士を採用して、その育成を行い、世界市場におけるいすゞの製品の整備技術レベルを高めることを最終目的とした大型プロジェクトを開始した。当面の支援先はフィリピン国内のいすゞ系ディーラー。将来的には中近東、インドシナ半島へと順次拡大していく計画だ。
整備士としての技量が、いすゞ自動車最上ランクのSクラスに認められる片山は、その高い整備スキルが評価され、プロジェクト推進のためトレーナーに就任。約3年間、日本の整備技術を世界に伝えるべくフィリピンに赴任し、日々奮闘した。
トラック整備は楽しいと語る片山だが、どのようにしてSクラスにまで登り詰めたのか。そして片山の思う、この仕事のやり甲斐とは。

IGSCのプロジェクトに参加、フィリピンで整備士の育成にあたる IGSCのプロジェクトに参加、フィリピンで整備士の育成にあたる

2015年、赴任した時、フィリピンで活躍するトラックを見て、「懐かしい!」と、感じました。
私が入社した1995年頃、ちょうど日本のバブルがはじけた頃に日本で大活躍していたトラックでした。「少し黒煙の量が多いなぁ」と思いましたが、元気に荷物を運んでいました。
日本で車検やメンテナンスをしっかり受けていたトラックが、日本を離れ、フィリピンで活躍していました。
そんなトラックの勇姿を見て癒され、赴任当初、不安を感じていた気持ちが少し和らぎました。

それからは驚きの連続で、特に驚いたのはディーラーを視察した際、整備士が安全靴を履かずにビーチサンダルにTシャツとジーパン姿で、身を守るための装備がまるでありませんでした。さらに、こちらには車検制度が無く、車両の安全運行に対する意識が低いことにも驚きました。改めて日本の高い安全意識が素晴らしいと感じました。

次に、働き方です。アメリカからの影響でしょうが、仕事について、やればやるだけお金をもらえる、という捉え方をしている人が多いこと。スキルアップのためには、新しいことはどんどん覚えようとします。

その反面、フィリピンには「仕事は終身雇用で」として考える人が少なく、給料が1円でも高ければ、明日にはそちらの会社に移るという感じです。正社員採用も少なく、つまり会社が労働者を大切に扱わない分、労働者も会社を大事に思っていないと感じました。
そして私が危惧しているのが、せっかく技術研修を行っても、すぐにいすゞの元を離れていってしまうのではないか?ということでした。

私たちの願いは、いすゞのエンジニアとして、整備レベルを上げて、稼動をサポートして欲しいということです。もしIGSCを去っても、いすゞグループ内で働いてくれれば良いのですが、他メーカーへ行ってしまうと、とても寂しいですね。
このような私たちの思いは、エンジニアに毎日少しずつ説明していました。

プロジェクトは順調に進行中、さらなる展開を目指すプロジェクトは順調に進行中、さらなる展開を目指す

現在、私はいすゞ自動車近畿株式会社の教育部で仕事をしていますが、フィリピンに行くまではトラックの整備士をしてきました。私は今でもトラックの整備はとても楽しかったと思っています。それから、トラックと普通乗用車の整備は全く違うものだとも思っています。

トラックと乗用車では、まず走行距離が違います。大型トラックだと、生涯で100万キロ以上走ります。1ヶ月で1万キロ以上走るような車もあります。これは乗用車ではなかなか無い数字です。

また、トラックの整備では、パソコン診断や機械的な整備はもちろんのこと、溶接の作業があったり、木の加工の作業があったり、電気的知識も必要だったりと、さまざまな知識や技術を組み合わせることになるので、乗用車より内容の濃い整備経験ができます。だから、トラックって面白いんです。トラックの整備は奥が深いから楽しい。

日本とフィリピンとの違い

プロジェクトは順調に進行中、さらなる展開を目指す

トラックは、感情を持たない機械ですが、整備のスキルが上がると、まるでお医者さんのように、トラックとコミュニケーションを取る事ができます。故障したトラックに整備を通じて、「どこが痛い?どこが悪い?」と話しかけると、「ここを診てほしい…」と教えてくれます。トラックとの対話は、テスターを使ったり、パソコン診断をしたりと方法はいろいろありますが、経験で故障箇所が分かるようにもなります。

どうすればトラックと会話できるまでスキルを高めることができるのか?それは、自分には手に負えそうもないと思った故障であっても、頼まれた仕事は断らずに挑み続けることです。分からないことを調べたり、悩んだりしているうちに、ひとつずつ出来ることが増え、そうすると満足感が得られ、また新たな挑戦がしたくなる。そうやって、好循環が生まれ、スキルも上がっていきます。

皆さんも経験したことありませんか?誰も達成できないハイスコアを自分が塗り替え、そのスコアをさらにまた自分が塗り替えるという、ゲームと同じような楽しさがあります。のめり込むと、知らず知らずのうちに整備士として成長します。

いすゞ自動車には社内検定制度があり、S級がその最高ランクです。S級は難しく、私は2010年2011年2013年と3回挑戦して、認定を得ることができました。結局のところ、人は順位にこだわらなければ、どこかで高みを目指すことを諦めてしまうものなのではないかと思います。人よりもちょっと頑張れば、順位が上がるかも、それを続ければ、一番上にいけるかもしれない。順位に対するこだわりが、私を成長させてきたのだと思います。

文化が違う国でプロジェクトを進めることには、困難もある

トラックはモノを運ぶだけの機械ですが、その先には荷物を待っている人がいます。もし故障で停まってしまうと、待っている人を困らせることになります。いすゞは「運ぶを支える」と言う企業理念を掲げていますが、私は整備士として働き始め、この企業理念に強く共感するようになりました。
私たちが食べているモノ、着ているモノ、あらゆるモノをトラックが運んでいます。トラックを止めないことで、みんなの生活が成り立ちます。トラックの整備はそういう大切な役割の一端を担っているのです。

この仕事のもう1つの魅力は、たくさんの感謝をもらえる仕事だということです。夜中に路上で故障したトラックを緊急修理に行った際には、「兄ちゃん来てくれて良かったわ。これで荷物運べるわ。」と喜ばれます。目の前で困っている人を助けることが多い仕事です。正確に修理すれば修理するほど感謝される。その感謝の言葉も、私のやり甲斐でした。

文化が違う国でプロジェクトを進めることには、困難もある

プロジェクトは順調に進行中、さらなる展開を目指す

ただ、体力が無いと、整備士としては辛いかもしれません。大変ハードな仕事です。しかし、やり甲斐はたくさんあります。
 入社1年目から色々な事ができるわけではありませんが、経験を積めば、難解な修理や、楽しい仕事をすることができます。いすゞ自動車には、スキルアップのための手厚い支援体制があります。
私も教育部で、あなたの成長をバックアップします。

次はあなたが活躍する番です。是非いすゞ近畿で働いて、いすゞの整備士としてスキルアップして、これからの日本の物流を支えてください。